バイオマス発電の廃液処理|石炭・木質チップ混焼廃液の対策

再生可能エネルギーへの関心が高まるなか、石炭+木質チップの混焼によるバイオマス発電は、既存設備を活かしながら再エネ比率を高められる現実的な選択肢として注目されています。
一方で、現場では発電効率や燃料調達だけでなく、木質チップ由来の廃液・排水をどう処理するかが、運転の安定性や環境対応に直結する重要テーマになっています。

とくに木質チップを燃焼する工程では、燃え残りなどからリグニン・タンニン系の成分を含む廃液が発生するケースがあります。これは一般的なバイオマス発電の排水と比べると、やや特殊な事例です。単なる濁水ではなく、木質由来の有機成分が溶け込んだ着色性の高い高負荷廃液であるため、通常の感覚で扱うと後段処理設備や放流管理に大きな負担をかける可能性があります。

実際に、ある大手電力会社のバイオマス廃液では、リグニン・タンニン系成分を含み、COD約5,000ppm、廃液量は1日あたり約10m³という性状が確認されており、浄化処理が必須とされています。これは、現場で「少し色がついた水」として扱えるレベルではありません。むしろ、発電所全体の水処理設計の中で明確に管理すべき廃液といえます。

こうした課題に対して、株式会社アクトの無機系凝集剤「水夢」は、一次処理の段階で木質由来廃液の負荷を下げる技術として活用されています。
本記事では、石炭+木質チップ混焼のバイオマス発電において、なぜ木質由来廃液が問題になるのか、なぜ処理が難しいのか、そしてアクトの技術がどのように現場に貢献できるのかを、工場・発電所の排水管理担当者向けにわかりやすく解説します。


目次

石炭+木質チップ混焼のバイオマス発電で、なぜ廃液処理が重要なのか

バイオマス発電という言葉からは、どうしても燃料や発電効率の話に意識が向きがちです。しかし、現場の運転実務で見れば、燃料を扱う以上、その副次的に生じる排水・廃液の処理も避けて通れません。

石炭との混焼で木質チップを使う場合、木質由来成分が水側へ移行する工程が生じることがあります。ここで問題になるのが、木材に由来するリグニンタンニンです。これらは木や植物に含まれる成分として自然界では珍しくありませんが、いったん水中に溶け出すと、強い着色や高い有機物負荷の原因になります。

つまり、バイオマス発電における木質チップ利用は、単に「再エネ燃料を使う」という意味だけではありません。
同時に、木質由来の特殊な廃液をどう管理するかという、水処理上のテーマも背負うことになります。

このテーマを後回しにすると、後段設備の負荷増大、放流管理の難化、薬剤コストの増加、運転トラブルの温床になりかねません。逆にいえば、一次処理を適切に設計できれば、発電所全体の安定運転や環境対応力を高めることにつながります。


木質チップ由来のリグニン・タンニン廃液とは

木質チップには、セルロースやヘミセルロースだけでなく、木材の構造を支えるリグニンや、植物に広く含まれるタンニンが含まれています。添付の研究でも、木質由来のリグニン・タンニン様物質が水に溶出することで、黒褐色の排水が発生すると説明されています。

これらの成分を含む廃液の特徴は、まず色が非常に強いことです。見た目としては茶褐色から黒褐色を呈しやすく、排水処理現場では視覚的な問題として真っ先に認識されます。
しかし、本当に厄介なのは見た目だけではありません。リグニンやタンニンは有機物としての負荷も持つため、CODが高くなりやすいのです。

さらに、これらは単純な易分解性有機物とは異なり、処理のクセが強い成分です。添付研究でも、リグニン・タンニン様の難分解性溶存有機物が含まれているため、通常想定されるような生物化学的分解が進みにくい可能性が示されています。

つまり、木質チップ由来の廃液は、単に着色しているだけの水ではなく、木質特有の難処理性を持つ有機性廃液です。
この理解がないまま一般的な排水処理の延長で考えると、現場で思うような改善が得られないことがあります。


この廃液が一般的な排水より難しい理由

木質チップ由来の廃液が難しい理由は、大きく分けて4つあります。

1. 着色が強い

リグニンやタンニンは水に色をつけやすく、少量でも排水の見た目に大きく影響します。
放流前の印象管理や、現場内での安心感にも関わるため、色の問題は想像以上に大きなテーマです。

2. CODが高い

今回の事例では、COD約5,000ppmという高濃度廃液が前提になっています。一般的な薄い洗浄排水とは異なり、後段処理設備にそのまま送るには大きな負荷です。

3. 木質由来で分解しにくい

添付研究では、木質由来のリグニン・タンニン様物質が難分解性であることが示唆されており、通常の生物処理だけに頼る考え方では不安が残ります。

4. 継続発生する

発電所では、スポットで一度だけ出る廃液ではなく、日常運転に伴って継続的に発生するのが大きな違いです。継続的に出る以上、応急処置ではなく、安定運転できる処理設計が必要になります。

この4点が重なることで、木質チップ廃液は「特殊で、しかも現場への影響が大きい」廃液になります。
だからこそ、発電設備側と排水処理側を切り離して考えるのではなく、発電所の運転フロー全体の中で前処理を設計することが重要です。


COD約5,000ppm・日量約10m³が意味するもの

数字だけを見ると、COD約5,000ppm、日量約10m³というのは、極端に巨大という印象を持たない方もいるかもしれません。
しかし、排水処理の現場感覚で言えば、この条件は十分に重いです。

まず、COD約5,000ppmは、後段設備から見ればかなり高負荷です。
これを十分な前処理なしで流し込めば、総合排水設備の負荷変動、薬剤使用量増加、処理水質の不安定化などにつながる可能性があります。

次に、日量約10m³という量は、小規模スポットではなく、日々継続して向き合うべき運転負荷です。
毎日10m³の高濃度廃液が発生するなら、そのたびに場当たり的に対応するわけにはいきません。運転員の手間、薬剤管理、汚泥処理、後段設備との連携まで含めて、仕組みとして回ることが重要です。

さらに、色が強い廃液は、数値以上に現場の心理的負担も大きくします。
「数値は出ているが見た目が不安」
「後段で本当に安定して落とし切れるのか」
「将来的に社内基準や地域配慮が厳しくなったらどうするか」
といった不安がつきまといます。

だからこそ、このレベルの廃液では、希釈だけに頼るのではなく、前段で性状を整える一次処理の考え方が重要になります。


現在の処理フローと一次処理の重要性

今回ご提示いただいた現場では、処理フローは次のようになっています。

  1. 木質チップ燃焼
  2. リグニン・タンニン廃液が発生
  3. 廃液はさらに何倍にも希釈
  4. 希釈後の水を水夢で一次処理
  5. 最終的に社内の追加浄化設備を通して放流

この流れから明確にわかるのは、水夢が単独完結型ではなく、前段の一次処理として機能していることです。
これはむしろ非常に実務的です。実際の工場や発電所では、ひとつの薬剤や設備だけで全項目を解決するよりも、前処理で荒い負荷を落とし、後段設備で仕上げるほうが、安定運転しやすいケースが多くあります。

一次処理の役割は、単に色を薄くすることだけではありません。
後段設備に送る前に、

  • 木質由来成分の一部を除去する
  • 着色負荷を下げる
  • 後段設備の処理負荷を平準化する
  • 全体の運転安定性を高める

という意味があります。

つまり、一次処理は「補助的な工程」ではなく、全体処理フローの安定性を左右する重要工程です。
特に、木質由来のような難処理廃液では、この前段が弱いと、後ろでいくら頑張っても設備全体が苦しくなります。


水夢がバイオマス発電の一次処理で担う役割

株式会社アクトの「水夢」は、無機系凝集剤として、こうした木質由来廃液の一次処理に活用されています。
ここで重要なのは、水夢を「なんでも一発で解決する万能剤」として捉えることではなく、木質チップ由来廃液の前段処理を強くする技術として理解することです。

水夢が担う役割は、大きく3つあります。

着色負荷の低減

リグニン・タンニン系成分は色の主因であり、現場課題としても目立ちます。一次処理段階でこれらの負荷を下げることは、放流管理だけでなく、後段設備の運転安定にもつながります。

有機物負荷の低減

木質由来成分は色だけでなくCODにも寄与します。一次処理で有機物の一部を除去することで、後段設備の負担軽減が期待できます。

既存フローへの組み込みやすさ

すでに追加浄化設備を持っている発電所にとっては、全面改造よりも、前段に適切な一次処理を組み込む改善のほうが現実的です。水夢は、そのような現場改善の方向性と相性がよい技術です。


アクトの技術が木質由来廃液に向いている理由

アクトの強みは、単に凝集剤を扱っていることではありません。
木質由来の着色・難分解性廃液に向けた知見があることです。

添付研究では、ゼオライト系凝集剤によって、菌床しいたけ排水中の着色成分が高率で除去され、色度95%、タンニン・リグニン89%、リグニン76%、濁度97%、SS93%、TOC63%、COD67%、T-P99%、T-N59%という高い平均除去率が示されています。

この研究の対象はしいたけ排水ですが、重要なのは、そこに含まれているのが木質由来のリグニン・タンニン様物質である点です。木質チップを扱うバイオマス発電でも、廃液の性質としてこの系統の課題を持つ以上、技術的な相性が見込めます。
しかも研究では、市販の凝集剤では難しかった着色成分の除去が可能になったとされており、木質由来着色排水への対応力が示されています。

また、凝集処理後に生じる汚泥についても、有害金属を含まず、再利用可能性まで評価されている点は、現場運用を考えるうえで大きな安心材料です。


しいたけ排水研究から見える木質由来廃液への応用力

「しいたけ排水の研究が、なぜバイオマス発電に関係するのか」と感じる方もいるかもしれません。
しかし本質を見ると、両者には重要な共通点があります。

それは、どちらも木質由来のリグニン・タンニン様成分を含む着色性の高い廃液であるということです。添付研究でも、広葉樹チップ由来の木質成分が溶出し、黒褐色排水を生じると説明されています。

つまり、アクトの技術は「しいたけ専用」なのではなく、木質由来の難しい着色廃液に対して知見を持つ技術と見るべきです。
実際、研究では色度だけでなくCODやTOCも低減しており、単なる見た目改善ではないことがわかります。

バイオマス発電の木質チップ廃液も、同じく木質由来成分への対応が求められる以上、この知見は十分に意味があります。
アクトが訴求すべきなのは、「排水処理剤を売っています」ではなく、木質由来の難処理廃液に対応してきた技術がありますという点です。

ここに、バイオマス発電会社の設備担当者や環境担当者に響く説得力があります。


バイオマス発電会社が一次処理を見直すべき理由

発電所では、ボイラ、燃料、灰、排ガス、安全、メンテナンスなど、検討すべき項目が非常に多くあります。その中で、廃液処理はどうしても優先順位が下がりやすい分野です。
しかし、木質チップ由来の高COD廃液が継続的に出るなら、一次処理は後回しにできません。

一次処理を見直すメリットは明確です。

まず、後段設備の負荷を下げられる可能性があります。
すでに社内の追加浄化設備を持っているなら、前段でどれだけ荒負荷を落とせるかが、全体の運転安定に大きく影響します。

次に、処理の安定性を高めやすいことです。
高濃度・着色性・木質由来という複数の難しさを持つ廃液は、後段だけで吸収しようとするとばらつきが出やすくなります。前段で性状を整えておくことには大きな意味があります。

さらに、将来的な基準強化や社内基準見直しへの備えにもなります。
今はギリギリ運転できていても、将来にわたって同じ条件とは限りません。一次処理の改善は、中長期のリスク低減策にもなります。


こんな発電所・設備担当者に向いている

アクトの水夢は、特に次のような現場で検討価値があります。

  • 石炭+木質チップ混焼の設備を運用している
  • 木質チップ由来の茶褐色・黒褐色の廃液に悩んでいる
  • 高COD廃液が後段設備の負担になっている
  • 希釈しているが、それでも処理設計に不安がある
  • 既存の追加浄化設備はあるが、前段を見直したい
  • 木質由来の特殊廃液に対応できる会社を探している
  • 発電現場で使える、実務寄りの提案を求めている

とくに、すでに設備を持っている現場ほど、全面更新よりも一次処理の改善で全体最適を図るほうが現実的です。


アクトのリグニンタンニン廃液用凝集剤の詳細な関連資料をご覧になりたい方は、こちらをご参照ください。


まとめ

石炭+木質チップの混焼によるバイオマス発電では、木質由来のリグニン・タンニン系廃液が発生することがあります。
この廃液は、着色が強く、CODが高く、しかも木質由来で処理のクセがあるため、一般的な排水とは異なる対応が必要です。

今回のように、COD約5,000ppm、日量約10m³という条件で継続的に発生するなら、希釈だけでなく、前段の一次処理をどう設計するかが重要になります。
実際のフローでも、水夢は希釈後の廃液に対する一次処理技術として位置づけられ、その後の社内追加浄化設備につなぐ役割を担っています。

また、アクトの技術は、木質由来のリグニン・タンニン様物質を含む排水に対して、脱色・浄化性能を示した研究実績があり、木質系の難処理廃液に対する知見を持っている点が強みです。

バイオマス発電の現場でこれから求められるのは、発電効率や燃料調達だけではありません。
木質由来廃液への対応力も、発電所の運転品質の一部です。

株式会社アクトは、そうした現場課題に対して、
「石炭+木質チップ混焼で発生する木質由来廃液に、一次処理で貢献できる技術を持つ会社」
として、バイオマス発電会社に提案できる立ち位置があります。

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